未来のあなたも通る道。看護師1年目・2年目の「悩み」と「成長」をのぞき見! ~症例発表会サポート編~

こんにちは、このコラムを読んでくれているあなたは、きっと「看護師」という仕事に興味を持っている高校生や、看護師を目指して日々勉強を頑張っている看護学生さんだと思います。
皆さんは「看護師」と聞くと、どんな姿を想像しますか?
テキパキと仕事をこなし、患者さんに優しく寄り添う姿でしょうか。
それとも、ドラマのように緊迫した現場で、命を救うために戦う姿でしょうか。
どれも看護師の大切な一面です。
でも、実は、どんなに立派に見える看護師も、最初からすべてが完璧にできたわけではありません。みんな、皆さんと同じように「新人」の時期があり、たくさんの「悩み」や「壁」を乗り越えて成長していきます。
今回は、当院の若手看護師たちが実際に経験した「症例発表会(しょうれい はっぴょうかい)」の中身を少しだけ公開します!
「症例発表会」とは、自分が担当した患者さんとの関わりを振り返り、そこから得た学びを発表する場のこと。
そこには、教科書には載っていない、リアルなドラマがありました。
実録!若手ナース3人の「悩み」と「成長」
実際に当院の看護師たちが発表した事例(エピソード)を3つご紹介します。
「こんな時、どうする?」と、自分だったらどう考えるか想像しながら読んでみてください。
Case 1:「怒ってばかりの患者さん」…どう関わればいい?
【担当:2階東病棟 Iさん】
<悩み:なんで私ばかり怒られるの?>
受け持った90代のAさんは、肺炎で入院されていました。Aさんは要望が多く、朝の検温に行くだけで「頭が高い!」「お水ちょうだい!」と強い口調で訴えてきます。対応しても「違う!」と納得してもらえず、点滴を自分で抜いてしまうことも…。
Iさんは「一生懸命やっているのに、どうしてこんなに言われるんだろう」と精神的に辛くなり、「こういう性格の人だから仕方ない」と、なるべくAさんを避けたい気持ちになっていました。

<転機と成長:怒りの裏にあった「不安」>
ある日、落ち着いてAさんの話を聞く機会がありました。そこで分かったのは、Aさんが怒っていたのは「ナースコールの対応を待たされること」や「説明なしに身体を抑えられて処置をされること」への強い不安と不快感だったのです。
「私の関わり方が、Aさんを怒らせていたんだ」
そう気づいたIさんは、行動を変えました。処置の前には必ず「今から〇〇をしますね」と丁寧に説明し、要望には「後で」と言わず最優先で対応するようにしました。
すると、Aさんの態度は劇的に変化。「ありがとう」「寂しいからまた来てね」と穏やかな笑顔を見せてくれるようになったのです。
「『難しい患者さん』と決めつけず、その裏にある不安に気づくことが大切」。Iさんが、看護師として一つ殻を破った瞬間でした。
Case 2:「独居で寝たきり」でも、家に帰りたい
【担当:3階東病棟 Uさん】
<悩み:安全か、本人の希望か>
一人暮らしの高齢患者Aさんは、感染症の後遺症で寝たきりとなり、痰(たん)の吸引が必要な状態でした。
Uさんは最初、カルテを見て思いました。「一人暮らしで、自分では動けなくて、吸引も必要…。自宅に帰るなんて無理だ。病院や施設の方が、スタッフの目があって安全なのに」と。
しかし、Aさんに「どこで暮らしたいですか?」と聞くと、言葉は出にくい状態でしたが、「自宅」という単語を聞いた瞬間にパッと笑顔になったのです。
<転機と成長:プロとして「叶える」方法を考える>
「あの笑顔を見て、無理だと決めつけていた自分が恥ずかしくなりました」
Uさんは「どうやったら帰れるか?」に全力を注ぎました。最大の課題は「痰の吸引」です。Uさんは食事前の口腔ケア(お口の掃除)を徹底し、誤嚥を防ぐ工夫を重ねました。すると、1日1~2回必要だった吸引が、なんと退院前にはゼロ回に!
食事も、自宅と同じミキサー食にしてリハビリを行いました。
1ヶ月後、Aさんは無事に退院。娘さんからは「母は家に帰ってきたことを分かっているようで喜んでいます」と感謝の言葉を頂きました。
「『無理だ』という医療者の先入観で、患者さんの『帰りたい』という思いを諦めてはいけない」と心に深く刻んだ事例です。

Case 3:「自分でやりたい!」患者さんと「心配」なご家族
【担当:3階東病棟 Kさん(2年目)】
<悩み:板挟みになった退院調整>
Kさんにとって初めて主体的に動く退院調整の担当患者さんは、80代のAさん。亡き夫と酒屋を営んできた、自立心の強い女性でした。
「人の世話にはなりたくない」「他人(ヘルパー)を家に入れたくない」とサービス利用を拒否するAさん。
一方で、離れて暮らす息子さん夫婦は「一人暮らしで転倒したら心配だ」と、手厚いサービスを希望していました。
「本人の意思を尊重したいけど、安全のためにはサービスが必要…」。Kさんは双方の思いの間で板挟みになってしまいました。

<転機と成長:心を動かした「対話」>
悩み抜いたKさんは、もう一度Aさんと向き合いました。単に「危ないから」と説得するのではなく、心に寄り添って話しました。
「Aさんが大好きなご自宅で暮らし続けるためには、ご家族が安心できることも必要なんです。そのために、少しだけ手助けを借りませんか?」
Kさんの真剣な思いはAさんに届きました。「いろいろ考えてくれてありがとう。申し訳ないけど、お願いするわ」。Aさんは納得し、無事に思い出の詰まった我が家へ帰ることができました。
「ただの調整役ではなく、患者さんと家族、双方の思いをつなぐのが看護師の役割」だと実感し、2年目ならではの成長を感じた事例でした。
悩む時間は、あなたが成長している証拠
3人の先輩たちのエピソード、いかがでしたか?
最初はみんな、「うまくいかない」「どうすればいいか分からない」と悩んでいました。
でも、その悩みに真正面から向き合い、先輩に相談したり、患者さんの声に耳を傾けたりしたからこそ、「看護師としての大きな気づき」を得ることができました。
「悩む」ということは、それだけ患者さんのことを真剣に考えている証拠なのです。

尼崎医療生協病院は、あなたの「初めて」を全力サポート!
「自分にこんなことができるかな…」と不安になった人もいるかもしれません。
でも、大丈夫。当院では、新人が一人で悩みを抱え込まないためのサポート体制が整っています。
サポート(1):「すごい症例」じゃなくていい!まずは「モヤモヤ」を話そう
症例発表会のテーマ選びで一番大切なのは、カッコイイ成功事例を選ぶことではありません。
Iさんのように「なんだか苦手だった」という経験や、Kさんのように「どうすればいいか分からず板挟みになった」という経験こそが、実は一番の学びの材料になります。
当院では、プリセプター(教育係の先輩)が「最近、心に残っている患者さんはいる?」「家に帰ってもつい思い出してしまうような場面はなかった?」と、あなたの心の奥にある「モヤモヤ」を言葉にするお手伝いをします。
「こんなこと発表していいのかな?」と不安に思うような失敗談や悩みこそ、先輩たちは「それこそが、あなたが一番成長できるテーマだよ!」と温かく背中を押してくれます。

サポート(2):「振り返り」は一人じゃない!プロの視点で深めよう
テーマが決まったら、次はその看護を深く振り返るステップです。でも、「なぜあの時、うまくいかなかったのか?」を自分一人で分析するのは難しいものです。
そんな時、当院ではチーム全体であなたをサポートします。
例えば、Case 3のKさんが先輩から「薬の管理はどうするの?」「退院日はどう決める?」と具体的なアドバイスをもらったように、先輩ナースが「この視点で考えてみたらどうかな?」「この文献にヒントがあるかもよ」と、思考を深める道筋を示してくれます。
感覚でやっていたケアを、「看護理論」や「根拠(エビデンス)」に基づいて言葉にできた時、「あ、私ってちゃんと看護ができていたんだ!」という確かな自信が生まれます。
サポート(3):「発表練習」は、あなたの想いを届けるための作戦会議
資料が完成したら、いよいよ部署での「予演会(リハーサル)」です。
これは単にスライドの誤字脱字を直す場ではありません。あなたの「患者さんへの想い」や「気づき」が、聴いている人に一番伝わる方法をみんなで考える、いわば「作戦会議」です。
「ここはもっと具体的に話した方が、患者さんの気持ちが伝わるよ」「堂々としていて、すごく良かった!」
先輩たちから具体的で温かいフィードバックをもらうことで、不安は少しずつ「伝えたい!」という意欲に変わります。
本番では、練習を重ねたあなたを見守る先輩たちが会場にいます。「一人じゃない」という安心感の中で、あなたは看護師としての一歩を堂々と踏み出すことができるのです。

当院が大切にしていること
症例発表会は、誰かを評価したり競い合ったりする場ではありません。
みんなで悩みや失敗を共有し、「じゃあ、どうすればもっと患者さんのためになるか」を一緒に考える、温かい学びの場所です。
未来のあなたへメッセージ
看護師の成長は、決して一人でできるものではありません。
特に1年目・2年目は、嬉しいことと同じくらい、壁にぶつかることもあります。
大切なのは、そんな時に「一人で抱え込まないこと」。
尼崎医療生協病院には、あなたの「悩み」を「成長」に変えてくれる先輩や仲間がたくさんいます。
このコラムを読んでくれた高校生・看護学生の皆さん。
いつか皆さんが看護師になり、悩みながらも患者さんと向き合い、「看護って楽しい!」と笑顔で語り合える日が来ることを、心から楽しみにしています!

私たちと一緒に、患者さんの心に寄り添う看護師を目指してみませんか?

