皮膚病の原因の調べ方
皮膚病の原因の調べ方
尼崎医療生協病院皮膚科 玉置昭治
皮膚病の原因の調べてくださいとよく頼まれます。簡単に血を採って原因が分かると思われているみたいです。血液検査で原因が分かるのが理想ですが、それで分かるのは全身状態が主で、今の医学の現状では原因が分かる検査はほとんど有りません。それではどのようにして皮膚病の原因を調べるのでしょう。アレルギー疾患を中心にして原因の調べ方を述べたいと思います。
かぶれの原因検索にはバッチテスト!
湿疹や接触性皮膚炎、いわゆるかぶれの原因を知るためには皮膚に出来ている発疹の分布が大事です。顔なら化粧品、首ならネックレスや衣料品、胸ならブラジャーや下着等のように分布から原因になっているものの予想をつける事が出来ます。そして予想をつけた原因になりそうな物を選んでバッチテストをします。バッチテストの方法はテストする物質を水や軟膏に溶いて48時間背中等に張りつけます。48時間後にはがして皮膚の反応をみます。さらにもう24時間後に判定 するばあいもあります。この方が反応がはっきり出る場合があるからです。
接触皮膚炎の原因の調べ方はまず出ている部位から判断します。
首ならネックレスなどの金属アレルギーやスカーフ・タートルネックなど衣類による物、手首や耳介ならブレスレットイヤリングなどの金属アレルギー、足首や下腹部などならゴム、手なら触る物全て、というふうに考えていきます。
診察室の椅子に座ったとたんに皮膚の症状もあまりみせてくれないで「病名は?」「原因は?」と質問される方がいらっしゃいます。皮膚科医は皮膚をみるのが商売ですから面倒臭がらずに、恥ずかしがらずに良く皮膚をみせてください。またかぶれの場合は上で述べたように診ただけでも原因の推測は可能な場合もありますが、確実に原因を見つけるにはバッチテストを受けてもらう必要があります。
蕁麻疹には皮内テストと内服テスト!
蕁麻疹の原因は多くの場合食べた物、薬、鼻から吸い込んだ物によって起こります。RASTといって血液挨査で原因検索ができるようになりました。それ以外では皮内テスト、スクラッチテスト、プリックテスト、内服テストに頼らざるをえません。
薬のアレルギー
薬のアレルギーでは蕁麻疹からはしかに似たようなものまで種々の形の薬物アレルギーが起こります。したがってその皮膚の症状に合わせて検査法を選びます。蕁麻疹であればⅡで述べた皮内テスト、スクラッチテストを、はしかのような皮膚症状ではⅠで述べたバッチテストを行います。蕁麻疹型の薬物アレルギーの陽性率は比較的高いですがバッチテストの陽性率は30~40%位です。残りの患者さんの場合は症状に合わせて薬の量を調整してもう一度その薬を飲んでもらって決めるしかありません。
血液を使った検査法はRAST、リンパ球刺激試験が行われていますがまだまだ陽性率が低く、また、全ての薬で行えるわけではありません。早く安全で確実な血液の検査法が出来て欲しいものです。
アトピー性皮膚炎の原因はストレス・人間関係・不安!
アトピー性皮膚炎はアレルギーとおもわれてアレルギー検査が沢山なされてきました。しかしアレルギーの面からはアトピー性皮膚炎の原因は見つかりませんでした。私が出した結論はアトピー性皮膚炎の原因はストレス・人間関係・不安と考えています。アレルギーは沢山持っていますから単なる合併といえます。ストレスによって生活習慣が乱れる、食生活が手抜きになるのがアトピー性皮膚炎の原因と考えています。
皮膚の生検
ある種の皮膚疾患では皮膚を切り取って顕微鏡で調べる(生検)が有効なこともあります。皮膚の変化を見て全身の臓器の障害を予見することが出来ますから、膠原病や糖尿病、腎臓や肝臓が悪いことがわかる場合もあります。