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ナローバンド療法

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ナローバンド療法

尼崎医療生協病院皮膚科  玉置昭治

紫外線療法

紫外線はどのように分類されますか、そしてどのような効果がありますか

紫外線は可視光線に引き続いて波長の長い方から順にUVA(長波長紫外線),UVB(中波長紫外線),UVC(短波長紫外線)と分類されます。反対に可視光線より長い波長が赤外線です。
波長の短い方から説明します。UVCは殺菌灯などに使われる紫外線です。オゾン層で吸収されて地表には到達しませんが発癌作用などの強い紫外線です。UVBは日焼けを起こす紫外線です。日中に水泳などをした後、夕方ころから真っ赤になってひりひりする日焼けを起こす紫外線です。この紫外線はガラスで吸収されます(ガラスで防御できます)。UVAはそれ単独では日焼けを起こしません。色素細胞に働きかけてメラニンを合成します。メラニンの前駆物質を酸化、重合して色が黒いメラニンに仕上げます。サンタンと言われています。

紫外線療法の種類

PUVA療法

紫外線を治療に使いだしたのは尋常性白斑や乾癬などの炎症性角化症です。70年代からソラレンという紫外線を吸収しやすくする内服薬や外用剤を塗った後にUVAを当てるPUVA療法が行われるようになりました。30年以上も続いている「ゴルゴ13」という狙撃者を主役にした漫画に、東洋人のゴルゴがソラレンを内服して日に当たって黒くなり、パンチパーマで変装して脱出するストーリーがありました。PUVA療法の変形ですが漫画になるほど知られている治療法です。

UVB療法

80年代になるとUVB照射した皮膚では免疫寛容が起きてアレルギーを起こしやすい物質を塗ってもアレルギーを起き無くできると報告されました。UVB照射を白斑や乾癬などに加えてアトピー性皮膚炎に使用されるようになってきました。PUVA療法でも同じような免疫寛容の結果を報告され、PUVA療法の方が治療効果が優れているとされていましたが、ソラレンの前処置が必要なこと、白斑の周辺皮膚の色が黒くなりすぎるなどで次第にUVB療法が主流になってきました。

ナローバンドUVB療法

2000年を過ぎたころから当院で使用されているナローバンドUVB(波長はUVBに分類されるが文字通り狭い、有効な波長で発がん性などのないとされる波長311±2nm)が使用されるようになりました。この装置は安全装置が二重に組み込まれてコントロールされているために当たりすぎなどが起きにくくなり、日焼けも起こしにくくなりました。当院では2008年4月からWaldmann全身型紫外線装置を使っています。全身照射型ですからそれぞれの必要照射時間は30秒から長くても1分くらいで効果があります。PUVA療法のような前処置もいりません。

紫外線療法の有効な疾患

対象疾患は白斑、乾癬、アトピー性皮膚炎、類乾癬、菌状息肉症などです。何故効果があるかは疾患によって標的になっている細胞が異なりますから一概には言えません。
白斑には表皮内の色素細胞に直接働きかけて、メラニンの産生を促しているようです。色素細胞の周囲にある角化細胞も何も反応しないのではなくて色素細胞が上手く色素を作れるように手助けをしているはずですが、まだまだ科学的に確定していません。上手く当たると毛穴から色素が再生してきます。
アトピーなどでは痒みが楽になって、いつまでも紫外線を浴びていたいといわれる方もいます。70年代にすでに紫外線が痒みを起こすヒスタミンなどのケミカルメディエーターを放出する肥満細胞の膜を安定化して痒みを抑えるといわれていました。最近では神経の終末が表皮の中まで侵入してちょっとした刺激で痒みを起こすといわれていますが、そういう神経に直接働きかけるのかもしれません。痒みを抑えることができますが、まだその機序はよく解明されていません。蕁麻疹の痒みには抗ヒスタミン剤が良く効きますが、抗ヒスタミン剤の効果が悪いアトピー性皮膚炎や、透析患者の痒みに効果があるようです。炎症反応も収まっていきますがその機序もまだ良く解明されていません。
乾癬など炎症性角化症は角化の亢進が起きている疾患です。これらの疾患は元来顔面・手背など日光に良く当たるところに皮疹が無いか、あっても少ないなどの特徴があり、紫外線が効果があることが予測されます。角化亢進を正常化するようです。皮膚面から盛り上がっているところが平坦化してきます。そして炎症反応も抑えるようです。

紫外線療法の副作用は

光線過敏のある人は使用できません。赤くなったりします。
色の白い、日に当たると黒くなるより赤くなる人は長期に使用するとシミができる場合があるようです。もちろん過剰に当たりすぎると日焼けを起こします。
長期間、または大量照射しますと日焼けや色素沈着を起こします。
PVBA療法もUVB療法も白人で乾癬に使用して皮膚癌が出来たという報告はあります。白人の場合が主ですが、日本人でも数は少ないですが報告があったと記憶しています。
ナローバンドUVB療法は発癌を起こす波長ではありませんから基本的には安全であるとされています。しかし、日本で使われだして10年ほどしかなりませんから絶対安全であるとはまだ言えません。しかし、淀川キリスト教病院22年、当院に来て3年、都合25年の間にUVB療法を17年間、その後ナローバンドUVB療法を8年間行っていますが照射にて癌が見いだされた経験はまだありません。
目に当たると雪目のような状態になります。ナローバンドUVBでは30秒くらいですから目をじっと閉じておくか、サングラス・ゴーグルをかけてもらいます。

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